著者
大夛賀 政昭 筒井 孝子 東野 定律 筒井 澄栄
出版者
静岡県立大学経営情報学部
雑誌
経営と情報 : 静岡県立大学・経営情報学部研究紀要 (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.65-76, 2011-11

現在、政策的にその構築が推進される地域包括ケアシステムでは、住み慣れた住居での生活を支えるためのケアサービスを提供するシステムが求められている。 しかし、これまでの研究においては、家族介護者によるケアの代替やレスパイトケアの必要性を定性的に把握した研究成果はあるものの、実際に家族介護者が提供したケア時間が計測されたデータを用い、さらに、これを認知症の有無別に提供時間や時間帯の分析結果から検討した研究はほとんどない。 そこで、本研究においては、在宅要介護高齢者を対象とした1週間の自記入式タイムスタディ調査データを用いて、家族が提供したケアの内容とその時間帯別の提供時間と、ケア提供の日内変動に着目した分析を認知症の有無別に実施した。 研究の結果、認知症あり群では、食事やBPSDへの対応に関する 「身の回りの世話」 や医療的処置や巡視・観察という 「専門的な治療・処置」 のケア提供時間がなし群より長く、時間帯別分析からは、認知症あり群は、なし群と比較して、ケア発生割合が夜間も高い傾向が示された。 これらの結果からは、認知症の要介護高齢者に対しては、とくに夜間の身体介護ニーズや医療的ニーズに対する定期訪問やBPSDの発現への随時訪問といった24時間巡回型サービスを組み合わせた支援の必要性が示唆された。\\nThe community-based integrated care system currently promoted by the Japanese government was designed to enable users to stay in a familiar setting by providing integrated home care services. However, even though some studies have focused on the necessity to provide support and respite care to family caregivers, very few studies are providing data concerning the caring time actually spent by family caregivers, and even less are making a distinction between demented and non-demented persons.This research is based on data collected during a week through a self-reported time study conducted on elderly persons in need of care and staying at home. A data analysis was conducted to identify separately for demented and non-demented persons the content of care provided by family caregivers, the time spent to care, the corresponding time period, and the daily fluctuations in care provision.Results showed that the time spent to provide personal care, which includes meals and care for BPSD, as well as the time spent by specialist to provide medical care and routine visit services, was longer for demented persons than for non-demented persons. Besides, the analysis of time periods showed that care was provided more often to demented persons and more frequently at night.These results reveal the need to provide special care to demented persons that combines routine visit services at night to cover medical and nursing care needs, as well as nursing care services that can also be provided at night when BPSD are manifesting and around the clock home visit services.
著者
小島 茂
出版者
静岡県立大学経営情報学部
雑誌
経営と情報 : 静岡県立大学・経営情報学部研究紀要 (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.105-110, 2013-03

Kojima Art Laboratory has been engaged in the Shizu-Okashi (Japanese- style confectionery associated with Shizuoka-city) art project since 2008 to promote communication and innovation in the community. As part of the project, we are now holding an art show using as a motif rabbit rice cake sweets, one of the three traditional confectioneries in Shizuoka-city.The show presents the art works featuring a fairy tale of rabbits giving rabbit rice cake sweets as a gift to Shogun Tokugawa Ieyasu, who lived in Sunpu Castle, Shizuoka-city, in the early 1600 s. The art works are comprised of three folding screens, a bead castle, and two shaped articles based on the fairy tale. The show is scheduled to be held in several shops and public facilities in the community.
著者
東野 定律 木村 綾 岩本 真弓 堤 悠香
出版者
静岡県立大学経営情報学部
雑誌
経営と情報 : 静岡県立大学・経営情報学部研究紀要 (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.31-41, 2018-03

本研究では、 静岡県内の介護事業所に行った調査結果と現在キャリアパス制度を導入している介護事業所に対するヒアリング調査を行った結果を基に、 キャリアパス制度を導入することで得られる効果、 導入するにあたっての課題を明らかにし、 介護事業所におけるキャリアパス制度の導入と整備に今後必要であると考えられる内容について提示することを目的とした。 分析した結果、 静岡県内の介護事業所において、 人事評価の仕組みや基準を示していない事業所が約4割を占め、 全体の51.4%が職員に人事評価の仕組みや基準が十分に伝わっていないという状況が明らかになった。 また、 キャリアパス制度がある法人では、 職員の行っている仕事やその役割が明確になっており、 賃金にも仕事の評価が反映する仕組みがあることが示された。 さらに、 調査結果から人事評価を行うにあたって問題を持っている事業所については、 時間がないシステムやノウハウがないといった問題の他に、 評価を行う評価者の能力や人材の問題、 職員に対して人事評価基準の重要性に関する認識を持たせることが課題として挙がった。 今後、 長期的に介護人材の確保や定着の推進を図るためには、 介護職員が将来の展望を持って介護の職場で働き続けることができるように、 能力や技術等に応じた公平な能力評価や人事評価が適切になされることが重要であり、 こうしたキャリアパスに関する仕組みを、 介護事業所に導入していく必要があるといえる。
著者
山﨑 真理子
出版者
静岡県立大学経営情報学部
雑誌
経営と情報 : 静岡県立大学・経営情報学部研究紀要 (ISSN:09188215)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.13-19, 2016-12

大学祭の模擬店で、 消費者行動のフィールド実験を実施した。 出店時にイメージ型 POP 広告を掲示し、 それが非計画購買者の購買行動を促進するかを検証した。 なお、 店頭にはメニュー表を掲げて、 4種類のメニューを用意してあることを示した。 そのうちの一部メニューでは自作の POP 広告を掲示し、 残りのメニューの POP 広告は掲示しなかった。 2日間にわたって食品を販売し、 その売り上げ本数を比較したところ、 イメージ型 POP 広告を掲示したメニューの方が、 掲示しなかったメニューよりも売り上げが多いことが示された。